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がんのリハビリの対象となる障害
     
 

 
   
 がんのリハビリテーションの対象となる障害は、がんそのものによるものと、その治療過程において生じた 障害とに大きく分けられます。がん治療中や治療後の全身性の運動能力の低下、活動性低下、廃用症候群とい ったがんの種類によらない一般的な問題に対するリハビリテーションも訓練目的として大きな割合を占めます (文責 辻 哲也)。
 
 
1.がんそのものによる障害
  1)がんの直接的影響
   
骨転移
   
脳腫瘍(脳転移)にともなう片麻痺、失語症など
   
脊髄・脊椎腫瘍(脊髄・脊椎転移)に伴う四肢麻痺、対麻痺など
   
腫瘍の直接浸潤による神経障害(腕神経叢麻痺、腰仙部神経叢麻痺、神経根症)
   
疼痛
 
2)がんの間接的影響(遠隔効果)
   
癌性末梢神経炎(運動性・感覚性多発性末梢神経炎)
   
悪性腫瘍随伴症候群(小脳性運動失調、筋炎に伴う筋力低下など)
     
2.おもに治療の過程においてもたらされる障害
 
1)全身性の機能低下、廃用症候群
   
化学・放射線療法、造血幹細胞移植後
 
2)手術
   
骨・軟部腫瘍術後(患肢温存術後、四肢切断術後)
   
乳癌術後の肩関節拘縮
   
乳癌・子宮癌手術(腋窩・骨盤内リンパ節郭清)後のリンパ浮腫
   
頭頸部癌術後の嚥下・構音障害、発声障害
   
頚部リンパ節郭清後の肩甲周囲の運動障害
   
開胸・開腹術後の呼吸器合併症
 
3)化学療法
   
末梢神経障害など
 
4)放射線療法
   
横断性脊随炎、腕神経叢麻痺、嚥下障害など
     
(辻哲也 : 千野直一 ( 編 ), 現代リハビリテーション医学第 2 版, 金原出版 , 2004. から引用)